パン作りの工程では形を整える前に生地を発酵させますが、この作業で必要不可欠なのが酵母です。
酵母はパン作り以外にも、ワインやビール、醤油作りにも利用されますが、それぞれ種類が違います。
同じ酵母であっても発酵させる物によって得手不得手があり、パン作りにはパン酵母と呼ばれるイースト菌が使われています。
そこで今回はこのイースト菌の種類についてご紹介させて頂きます。
イースト菌について
冒頭でもお話しさせて頂きました通り、パン作りの発酵の作業ではイースト菌と呼ばれる酵母が必要になります。
このイースト菌はパンの材料である小麦粉や糖分を栄養にして活動し、パンを膨らませる炭酸ガスやパンの風味のもとを作り出します。
発酵の工程については以下でも記載しておりますので、良かったらご覧いただければと思います。
イースト菌には独特の芳香があり温度管理がとても重要になります。
イースト菌が最も良く糖分を発酵させるのは30℃前後で、パン作りに使われるのは25℃~35℃位です。
また10℃以下ではほとんど止まり、反対に60℃以上では死滅してしまいます。
発酵の温度が高くなってしまうことでイースト菌が活動しなくなるとパンの中に残ってしまい、出来上がったパンがイースト臭くなってしまう原因にもなります。
イースト菌には次のように大きく3つの種類があり、それぞれパンの種類によって用途が異なります。
イースト菌の種類
生イースト
卵やバターを多く入れた濃厚な味のパンや、菓子パンに使われるのが生イーストです。
生イーストは培養したパン酵母そのままで、通常は粘土状をしています。
発酵力も強く安定したパン作りが出来ますが、乾燥や温度変化に弱い為、冷蔵でも1週間位しか持たないので、家庭用ではあまり使われません。
また、使用前には予備発酵が必要となります。
予備発酵とは休眠状態になっているイースト菌を35℃位の薄い砂糖水に溶かしてしばらく置き、活性化させる工程の事です。
ドライイースト
保存性を上げる為、生イーストを乾燥させて休眠状態にして粉末化したのがドライイーストです。
予備発酵が必要な「ドライイースト」と、そのまま使える「インスタントドライイースト」があります。
ドライイーストは顆粒状で発酵力が強く、様々な種類のパンに使われています。
使用量は生イーストの半分程度です。
保存する際は湿気を防いで、冷蔵庫に入れておくのが良いです。
インスタントドライイーストは粉末状で発酵力が強く、使用量は生イーストの4割、ドライイーストの8割で済みます。
常温でも保存可能ですが、冷蔵庫に入れておけばより長く保存出来ます。
その扱い易さから特に家庭でのパン作りに使われています。
また冷凍タイプで生イーストとドライイーストの良い所を取ったセミドライイーストという物もあります。
天然酵母
近年になって流行り出した物で天然酵母という物があります。
天然酵母は葡萄など果実や穀物についている酵母を利用して種を作った物です。
ただ温度管理が難しく、手間と時間がかかります。
また発酵力が弱く、培養される酵母菌数も一定ではない為、パン作りに使うと失敗する事も多いです。
酵母を使い分ける事で、様々な食感や風味を楽しむ事が出来ます。
それぞれの特徴を生かして、今よりももっとおいしいパン作りに挑戦してみて下さい。
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