いつも通りパンを作ったつもりでも、
「パンの表面がデコボコで焼き色もつかないし、なんかおいしくない…」
「成形しようとしたら、どんどんしぼんでいった…」
というような経験がある方もいらっしゃるかと思います。
それ、パンの「過発酵」が原因かもしれません。
そこで今回は、
- 過発酵とはどのような現象なのか
- その原因と生地の状態の確認方法
- 簡単にできる対策方法
- 過発酵が起きてしまったときの救済方法
これらについてわかりやすくご紹介します。
この記事さえ読めば、手ごね派の方もホームベーカリー派の方も「過発酵」におびえることなく、安心してパン作りが楽しめますよ!
パン作りでの「過発酵」とはどのような現象?その原因と確認方法
「過発酵(オーバー発酵)」とは、
イーストの働きが進みすぎて必要以上に発酵してしまった状態のこと
を言います。
イーストは糖質をもとに、炭酸ガスやアルコールを作り出します。
これが過剰になると、
- キメが粗くスカスカ
- 糖質が分解されすぎて甘みがなく、焼き色がつきにくい
- 酸っぱいにおいやアルコール臭がする
とおいしいとは言えない残念な仕上がりになってしまいます。
さらに一度過発酵してしまった生地をもとに戻すことはできません!
そのため未然に防ぐことがとても大切です。
どうして起こるの?パン作りで過発酵を起こしてしまう2大原因
ここでは2つの大きな原因と対策方法をご紹介します。
原因①:発酵時間をとりすぎてしまった
まずよくある原因が
「発酵時間のとりすぎ」
です。
「発酵させている間に別のことをしていて、すっかり忘れていた!」
なんてことになるとイーストが働く時間も伸びてしまいます。
キッチンタイマーを活用し、レシピより短めに時間を設定して発酵具合を確認するのがGOOD!
原因②:室温・材料の温度が高い
次に夏場によく起こる
「室温や材料の温度が高い」
ことが原因の場合。
イーストは24~35℃の温度帯で最も活発になりますので、夏場の室温はイーストにとってベストな状態。
いつもの感覚で作業をすすめると過発酵まっしぐら…
こちらはしっかりとした対策が必要なので、後ほどご紹介します。
【指1本でできる】過発酵の確認方法
確認は小麦粉をつけた指1本で簡単に行うことができます。
- 一次発酵:指で生地にぶすっと穴をあけます。その後にガスが抜けてしぼんでいくようなら過発酵。
- 成型後の二次発酵:端のほうを指で軽く押します。こちらもしぼんできたら×。
ちなみに指の跡がそのまま残る状態がベストな発酵具合です。
夏場のパン作りで過発酵を防ぐためのパターン別の対策
しっかりとした対策が必要な夏場のパン作りで気を付けたいことを、手ごね・ホームベーカリーごとにご紹介します。
手ごねでの対策
涼しい部屋で作る
室温が高い部屋でパンを作ってしまうと、こねている段階から発酵がすすみ、生地もダレやすくなります。
夏場はクーラーの効いた涼しい部屋で、全行程を行うのがオススメ。
材料を冷やしておく
パンをこねると
「摩擦熱」
が発生します。
この熱も発酵を促してしまうので、作業する30分~1時間前くらいに、小麦粉や水などの材料を冷蔵庫で冷やしておきましょう。
こねるとき少し冷たいですが、引き締まったきれいな生地ができあがります。
ホームベーカリーでの対策
タイマー機能を使わない
「朝食で焼きたてのパンが食べたい!」
と思ってホームベーカリーを購入された方も多いと思いますが、夏場は少し我慢してください。
夏の夜にセットしてタイマー機能を使うと室温が高いせいで、どうしても過発酵のパンが焼きあがってしまいます。
前日の夜に焼いておくか、当日の朝早起きして作りましょう。
材料をしっかり冷やしておく
ホームベーカリーだと機械の力でこねるので、手ごねよりも摩擦熱の影響が大きくなりがちです。
1時間以上前からしっかり材料を冷やしておくことが重要になります。
過発酵してしまった生地はもう使えない?|工夫次第で救済できる!
気を付けていたけれど過発酵してしまったとき、捨てるのはもったいないですよね。
そのままではあまりおいしくない過発酵パンですが、工夫次第で生まれ変わります!
一次発酵で過発酵してしまった場合|ピザや惣菜パンに変身
しっかりガス抜きをし、丸めていつもより短めに二次発酵をとります。
その生地を薄く伸ばしてトマトソースを塗り、お好みの具とチーズをのせて焼き上げれば立派なピザに!
またウインナーやベーコン・野菜を中に入れて成形し、いつもより短めに二次発酵をとって焼くと惣菜パンに大変身!
ソースや具材の味で過発酵独特の酸味やアルコール臭が気にならなくなります。
二次発酵で過発酵してしまった場合|ラスクに変身
生地は触らずそのままいつも通り焼きあげましょう。
冷ましてから薄くスライスして、バターと砂糖を混ぜたものをパンの片面に塗ります。
それを低温でじっくり、カリッとなるまでオーブンかトースターで乾燥焼き。
するとお子さまのおやつにもピッタリなラスクが完成!
ついつい手が伸びてしまいますよ。
まとめ
ここまでパン作りでの過発酵についてご紹介しました。
過発酵は、
- 発酵時間が長い
- 室温や材料の温度が高い
ことが原因で起こるイーストが働きすぎた状態のこと。
糖質が失われたことで、
- 甘みがなく、色づきが悪い
- キメが粗くスカスカ
- 酸っぱいにおい、アルコール臭がする
などの残念な仕上がりのパンになってしまいます。
過発酵を防ぐために、特に夏場は室温や材料の温度に気を配り、
- 涼しい部屋で作業をする
- 材料を冷蔵庫で冷やしておく
などの対策をすることが大切です。
原因と対策を確認して過発酵を恐れず、パン作りを思いっきり楽しみましょう!
コメント