パンを焼いている時のにおいは、空腹でなくてもつい食欲をそそられるおいしそうなものです。
ところが、せっかく作ったパンがイースト臭くてまずかったら…思わず落ち込んでしまうはず。
では、なぜイースト臭いパンが出来上がってしまったのでしょうか。
その原因と対策について見ていきましょう。
イースト臭はどこからやってくる?
パンは、皮の部分にあたるクラストと、中身の白い部分にあたるクラムから成り立ちます。
焼き上がった直後はそれぞれのにおいがしますが、時間が経つと混じり合い、食欲をそそるにおいとなります。
まず、パンの主な材料は小麦粉、水、そしてイーストです。
小麦粉に水を含ませてこねると、グルテンが形成されます。
グルテンは小麦粉に含まれるたんぱく質と水が結合するとできる物質で、いわばパン生地の骨格のようなもの。
網目状になっていて、引っ張るとガムのように伸び、ふかふかとした弾力があります。
小麦の種類や水の量のほか、こね方によってもできるグルテンの量が微妙に異なってきます。
しっかりとしたグルテンを作らないと出来が違ってきますので、使用する小麦粉に適した量の水を加えること、十分にこねることが大切です。
一緒に加えたイーストも水と結合し、発酵を始めます。
イーストは発酵すると炭酸ガスとアルコールや有機酸を発生させプクプクとしてきます。
生地をふっくらさせるのが炭酸ガス、アルコールや有機酸はパンの香りや風味を出してくれます。
イースト臭は原因であるイーストからのもので、種類によってもにおいはさまざまです。
イーストの形が違えば呼び名も違ってくる
そもそもイーストというのは何なのでしょうか。
「酵母」の一種でパンを発酵させるものをイースト(yeast)と呼びます。
ですから、イーストは酵母の一種ということです。
酵母は単細胞の微生物できのこと同じ菌類に属し、41属278種に分類されています。
その中で発酵食品を作るための菌を酵母といい、パンの発酵に適したものを「イースト」といいます。
ちなみに1グラム中の生パン酵母にはどのくらいの酵母菌がいるかというと、おおよそ100億個!
すごい数の菌がいるものですね。
さて、イーストの種類は大まかに
- 生イースト
- ドライイースト
- インスタントドライイースト
の3種類に分けることができます。
形状の違いで呼び方が異なり、
- 生のパン酵母
- ドライイースト
- インスタントドライイースト
- セミドライイースト
といった呼び方もします。
含まれている酵母はみんな同じ仲間ですが、形が違ってくればとうぜん扱い方も変わってきます。
ですから、正しく発酵をさせないと、イースト臭くまずそうなパンが出来上がってしまうので注意が必要になってきます。
酵母が生きている「生イースト」
生きている酵母をかたまり状にしたものです。
水分量が約70%と水分が多いのが特徴で、要冷蔵品。
ドライタイプよりは保存できる期間は短いですが、イースト力が強く、短時間で発酵が行えます。
使用する時は、水に溶いて使います。
においもそれほど強くはありません。
常温で長持ちする「ドライイースト」
保存性を高めるため、水分量を7~8%まで乾燥させた酵母。
低温乾燥させ粒状にしたもので、常温保存できるのが特徴です。
使用する時は予備発酵が必要となります。
強めのイースト臭があります。
予備発酵が不要な「インスタントドライイースト」
簡単に使えるので、家庭でパンを作る時にもっとも使われる酵母。
ドライイーストよりもさらに細かく、顆粒状にしたもので予備発酵なしで使えます。
水分量は4~5%で、常温保存ができます。
ただし、イーストの中でいちばんイースト臭のするのが、このインスタントドライイーストです。
焼き上がったパンがイースト臭い原因と対策
なぜ、パンがイースト臭いかというと、それにはいくつかの原因が考えられます。
<理由その1:発酵が不十分>
十分に発酵ができていないと、イースト臭くなることがあります。
発酵させるとイーストはおいしそうなパンの香りや風味を出してくれますが、時間が短すぎると発酵は不十分となり、活性化していないイーストが残り、これがイースト臭を発します。
<対策法>
使うイーストによっても発酵時間はまちまちです。
指示通りの発酵時間を守ることが大切です。
油脂を入れると発酵が止まってしまうので、油脂の前に発酵具合をきちんと確かめるようにしましょう。
<理由その2:イーストの量が多すぎる>
目分量ではなくきちんと計量することが大切です。
家庭で使うなら3グラム程度です。
たった1グラム違ったとしても出来上がりも違ってきてしまいます。
また、イーストは多く入れれば入れるほど、ふかふかのパンが出来上がるわけではありません。
多く入れてしまうとにおいの原因にもなります。
<対策法>
適量を入れることが重要です。
材料を正確に計量することがパン作りのポイントなので、イーストもきちんと計ることが大切です。
<理由その3:発酵の温度が高すぎる>
イーストは菌です。
ですから活発に活動できる温度も自ずと決まっています。
適温ならしっかりと働いてくれますが、温度が高すぎると活動できない菌が残ってしまうため、これがにおいの原因になることがあります。
<対策法>
発酵の温度の目安は35度です。これ以上の温度で発酵を行うとイースト臭が残りやすくなるので注意しましょう。
また、発酵には温度だけでなく適切な湿度も必要です。乾燥しているとパンも乾燥してしまうので湿度も確認するのを忘れずに!
まとめ
パンを作るときにイーストを使っているからイースト臭くなるのではありません。
イースト臭いパンが出来上がってしまったら、間違ったところはどこなのかを突きとめて、修正することです。
失敗は成功のもとです!
正しく計量し、発酵時間を適切に取ることで必ず、おいしいパンが作れるようになりますよ。
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