フランス在住の30代後半女性です。
今から10年ほど前、フランスにホームベーカリーの大ブームが起こり、ムリネックスなどの大手メーカーがこぞって新製品を導入しました。
「自分で自在にパンが作れる!」「たいへんな節約になる!」といった観点から大いに売れたのですが、ハマる人がいる一方で「やっぱり使えなーい」と手放す場合も多く、フリーマーケットなどがあると必ず出品が目立っていたものです。
現在は、パン以外にも蒸す・煮るといった多機能を備えたマルチ・クッカーが人気の主流になっており、ホームベーカリーはかなり廃れ気味です。
そんな傾向も何のその、我が家では通算3代目のホームベーカリーを、一日一回以上使用して現在にいたります。
もはやフランス人から「そんなに使っているの!?」と驚かれるほどの愛用ぶりで、まさに、「なくてはならない家電」のナンバーワン位置にあるのですが、その魅力を大いに語りたいと思います。
「パンを買う生活」の面倒さ
まず、基本中の基本ですが、ホームベーカリーを利用することの一番の魅力は、自宅で好きな時間にパンを作ることができる…ということです。
日本のような便利さにあまり重点を置かないフランスでは、24時間営業のコンビニやスーパーはもちろんなく、日曜・続く月曜には多くのお店が閉まってしまいます。
普段は近所のパン屋で焼きたての美味しいパンを買うのが習慣になっている人は、この休日のためには買いだめをしなければならず、不意の来客があったりサンドイッチをつくらなければならなかったり…という予定外の事態が起こると、簡単に「主食不足」に陥ってしまうわけです。
また、買って時間のたったパンは確実に味を落としていきますから、グルメなフランス人にとってはこちらも頭の痛いことでしょう。
ホームベーカリーの種類にもよりますが、だいたい普通の食パンで3時間前後の製作時間でしょうか。
シンプルなレシピであれば、途中で何かを足したり操作をしたり…という手間は一切ありません。
その間に別の家事や仕事もできますし、オーブンやコンロ他の調理機器と違って火事の心配もありませんから、お出かけすることももちろんOKです。
帰って来た時に家の中が香ばしいパンの香りで満ちていると、何とも幸せな気分になれるものです。
初心者が挫折しやすいホームベーカリーのデメリット
ホームベーカリーを手放す人が感じる難点には、「材料のストックが面倒くさい」という声が多く聞こえます。
確かに、料理が得意な人なら、粉や酵母などを買いそろえることに苦を感じることはないでしょうが、初心者が慣れるまでには、材料選びは少々難しい場合があります。
それを乗り越えて備え付けのレシピに応用を利かせることができるようになると、ホームベーカリーの恐ろしいまでのポテンシャル、創造性が味わえるようになります。
材料の時点でこだわりを持ち、有機栽培の小麦全粒粉などを使用してみると、材料やほんのちょっとの配合の違いで「ここまで違ってくるのか!」とその材料の持つ力を感じられるようにもなります。
我が家の場合、全粒粉による腹もちの良さに慣れてしまったため、たまにスーパーの安い白パンなどを買うと、一山ふた山を平気で食べつくしてしまう…という状況になります。
実際にはどれだけ節約ができるのか?
こういった全粒粉パンを店で購入することもできますが、何しろお値段が張ってきますので、ホームベーカリーで自作すると「こんなに安く作れた!」という感覚も味わえます。
特にフランスでは、「できあいのもの」と「食材」の値段差がかなり激しいので、ひと手間かけても少し食費を浮かせたい…という人にはたまらないツールですね。
ちなみにスタンダードなフランスパン(250g)を店で買うと、パン専門店で150円以上、スーパーで80円ほど。
ホームベーカリーで小さめの食パン一斤(500g)を作れば、全粒粉を利用しても60円くらいのコストです。
トータルで一日500gのパンを消費するご家庭の場合、スーパーパン2本(160円)-ホームベーカリーパン一斤(60円)=一日100円の差が出ます。これを一年で計算すると…何と36500円ものパン代が節約できるのです!
1万円ほどの一般的なホームベーカリーなら、すぐに元が取れると言うことでもあります。
お米や麺類など、パン以外の主食も豊かな日本人のご家庭にはあまりあてはまらない数値かもしれませんが、やはりパンが好きな方にはお財布面でも嬉しいメリットがたくさんあるわけです。
まとめ
フランスで思い知ったホームベーカリーの魅力と底力をお伝えしてきましたが、興味がある方はぜひ、ご自分の希望にあったホームベーカリーを探して試してみて下さい。
お台所の素敵なパートナーになってくれること、間違いなしですよ!
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